Contents
矯正治療に必要な期間
悪い歯並びを治すには、歯を動かしてきれいに揃える必要があります。
歯の根は、あごの骨の中に埋まっているため、歯が動くためには、根の埋まっている周囲の骨が吸収したり、新たに骨ができたりする必要があります。その骨の変化の速度はとてもゆっくりしたものであるため、個人差はありますが、成人の場合、2年から3年程度かかります。
また、不正咬合の状態によっては、乳歯が残っている時期に一度矯正治療を行い(短くても6ヶ月程度)、永久歯がすべて生え揃った時期に、再び矯正治療を始めなければならない人もいます。 (乳歯が残っている時期の治療だけで対応できる場合もあります)
矯正治療は子供だけのものと思われがちですが、大人の方も十分に可能です。
矯正治療は歯を動かす「動的治療」と、整った歯並びを安定させるための「保定」という期間が必要です。大人の動的治療期間の目安は2年から2年半。あごが小さいために歯が並びきれず、抜歯を要する人では歯の移動距離が長くなる分、治療期間も長くなります。保定期間は動的治療期間と同程度が目安となります。
治療期間が年単位となるのは、歯の根を支える歯槽骨の代謝を促しつつ、緩やかに動かすためです。
一般によく用いられる手法は「マルチブラケット法」
ブラケットと呼ばれる装置を歯に接着し、表面の溝にアーチ型のワイヤーを通したうえで、ワイヤーを個々のブラケットに結紮(けっさつ)して留め、歯面に押しつけて矯正力を発揮させます。
ブラケットは動的治療中つけたままですが、アーチワイヤーは月に1回交換し、徐々に太いものに換えていきます。ワイヤーを換えた12~24時間後は歯根膜の血管が圧迫されて痛みを感じますが、筋肉痛に近い感じなので、食べられなくなるほどではありません。
セラミック製ブラケットやホワイトワイヤーを使うと目立たないため、外から見えない治療を求める人には、セラミック製ブラケットやホワイトワイヤーでの治療が人気です。
近年広がってきた「裏側矯正(リンガル矯正)」
裏側からの操作はマルチブラケット法に比べ、ほとんど目立たず、近年ではセラミック製ブラケットやホワイトワイヤーでの治療を検討する方が、さらに目立たない装置を求める方に人気の治療法です。だがしかし、難易度が高く、表側矯正と同じスピードで治療できる医師はまだ少ないのが現状です。
「下の歯の裏側に装置をつけると舌が当たって痛い、発音しにくい、歯磨きが難しいなどの問題」などの問題があるため、上の歯だけを舌側にして下の歯は表側にする「ハーフリンガル」という手法を選ぶ人も多いです。
目立たない装置の「アライナー」
もうひとつ、リンガル矯正に付け加え、目立たない装置として、半透明の樹脂でできたマウスピース型のカスタムメイドの「アライナー」があります。代表の「インビザライン」は大きく動かしたい歯にプラスチックの小さな突起を接着するのが特徴です。その上にアライナーを1日20時間以上はめ、2週間ごとに交換しながら歯を動かしていく治療法です。
痛みがほとんどなく歯の動きも速い新型ブラケット
動的治療を快適に速く進める新型ブラケットが近年注目されています。従来のブラケットとの違いはアーチワイヤーを結紮しないことです。ブラケット内にトンネルを設け、その中を歯の動きに合わせてワイヤーが自由に滑る構造になっています。
開発医師によると、歯にかかる力は従来のマルチブラケット法の半分以下だそうで、その結果、歯根膜が圧迫される痛みが圧倒的に少なくなった上に「動的治療期間は1年から1年半が目安」と、歯の移動速度が速くなりました。
これは、内側から歯を押す舌の力と拮抗する形で外側から歯並びを保持しようと働く口の周りの筋肉の生理的な力をうまく利用した効果とのことです。舌で歯を押す癖や唇をかむ癖があると治療期間短縮効果は得られませんが、癖を治し筋力バランスを整えるとスピードが出るといわれてます。使用する矯正歯科医はまだ多くはありませんが、今後の普及に期待したい治療装置です。
主な治療の流れ
STEP 1:初診相談
歯並びに関する相談をします。
簡単な診査をおこない、現在の症状やその原因、治療法、装置、費用などの説明
STEP 2:検査
診断に必要な検査を行います。
検査項目:レントゲン・歯型をとる・口の中の写真・顔の写真・その他
STEP 3:診断
最適な治療プランについて説明受け、検査資料を見ながら症状を詳しく説明し、患者さんにとって最適と考えられる治療計画について具体的に説明があります。
治療費や予想される治療期間に関するお話し、むし歯や歯周病などの予防に関するお話しをします。患者さんと治療に関しての合意が得られたら、むし歯のチェックと歯みがき指導を行い、すぐに治療する必要がないと判断した場合は、治療に最適な時期が来るまで定期的(約3~6ヶ月~1年毎)に通院して頂きながら様子をみます(経過観察)。
STEP 4:歯磨き指導
治療を始める前に、むし歯のチェックや歯みがきの指導、歯のクリーニング等を行います。
STEP 5:治療開始
装置を装着して、矯正治療を始めます。歯を動かしている治療時の通院間隔は、治療の初期は2週~1ヶ月程度の間隔で、治療が進むと約1ヶ月に1回程度の通院間隔となります。
積極的に歯を動かさずに、歯の生えかわりの様子や成長による変化の状況を見ている場合(経過観察)の通院間隔は、約3~6ヶ月~1年に1回程度です。