正常な噛み合わせと悪い噛み合わせ

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正常な噛み合わせ

正常な噛み合わせとは、咀嚼の際の歯と歯のバランスが安定して取れている状態のことを言います。正常な噛み合わせによって、快適で健康な状態を維持できるのです。正常な噛み合わせの条件は、上下の前歯の中心が合っており、上下の前歯が上下方向と前後方向に2~3mm重なり交互に噛み合っていることです。また、咬合の仕組みは、上顎は頭蓋骨に固定されて動きません。下顎は複数の筋肉によって頭蓋骨から釣り下がっており、これらの筋肉が収縮・弛緩することで、顎関節を中心にして下顎が動きます。そのため咬合には歯と筋肉と顎関節および中枢神経系が関与しています。その中のどれか一つでも問題が生じてしまうと噛み合わせにも問題が起きてくるのです。

それでは、悪い噛み合わせとはどのような状態なのでしょうか。
また、悪い噛み合わせによって起こるトラブルもご説明いたします。

悪い噛み合わせ

叢生(そうせい)

歯の大きさと顎の骨の大きさのバランスが悪いといった歯並びがガタガタで凸凹な状態を言います。乱ぐい歯や八重歯も同様です。

叢生の原因は、顎が小さいのに生えてきた永久歯が大きい場合に起こります。その際、歯が並ぶスペースが足りなくなってしまい本来歯が生える位置と違った場所に歯が生えてしまうことがあります。さらに顎の大きさが正常だったとしても、歯の大きいためスペースが足りない場合が起きてしまい、叢生になる場合があります。また、乳歯が通常よりも早く抜けてしまう場合も、空いた隙間に奥の歯が手前に倒れながら移動して来るため、後に生える永久歯が正常ではない位置にはえてくる場合があるのです。

叢生の状態の歯並びは、歯並びが凸凹しているため歯ブラシが行き届かない場所が出てくることから、食べかすやプラークが溜まりやすくなるため、虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます。また噛み合わせも悪いため、食べ物を噛む効率が悪くなります。さらに審美的にもきれいではないため、周りを気にしてしまい歯を出して笑いにくくなります。

下顎前突(かがくぜんとつ)/受け口

下の前歯が上の前歯より出ている、受け口と呼ばれる状態のことをいいます。(反対咬合ともいいます)また、下顎が大きいといったような骨格が原因な場合は骨格性下顎前突といいます。

下顎前突の原因は遺伝的な原因は、顎の大きさといった骨格性の遺伝が大きく関わっていることが多いです。また、上の前歯が内側に傾いてしまっているため、下の前歯が外側に傾いてしまい反対咬合になることも原因です。さらに下顎を前に突き出す癖があるなどの、日頃の習癖が原因で徐々に受け口になっていってしまう場合があります。

下顎前突はかみ合わせが悪いため、食べ物を噛む時に無理な力がかかってしまい、効率よく物を噛めないことがあります。また、顎の関節に負担がかかってしまいます。さらに、前歯がきちんと咬み合っていないため、サ行・タ行・ラ行を発音する際に息が漏れて上手く発音できずに、舌っ足らずな喋り方になってしまうこともあります。また受け口は成長に合わせてより顕著になっていくため、下顎の骨が成長してしまった後では、手術による外科的治療が必要になる場合が多くなってしまうため、骨格が原因の下顎前突は下顎の骨の成長に合わせて矯正治療をする必要があります。

上顎前突(じょうがくぜんとつ)/出っ歯

上の歯が下顎歯より前に4mm以上出ている状態、いわゆる出っ歯といわれる歯並びのことをいいます。これが下顎が小さいといった骨格的な原因である場合は、下顎前突と同様に骨格性上顎前突といいます。

上顎前突の原因は、悪い習癖の一つといわれる、幼い頃の指しゃぶりや爪を噛む癖などがあります。この癖によって、上の前歯が前に傾いてしまいます。さらに下の顎が後ろに下がってしまうのです。永久歯に生え変わる時期の6歳ぐらいまでにこの癖をなおさないと、歯並びが悪くなってとなってしまう場合があります。また、前歯を舌で押してしまう癖があると、舌の力で歯が前に動いてしまうため出っ歯になることがあります。

上顎前突は口が閉じられないため、口呼吸になってしまいやすく、そのため口の中が乾燥してしまいます。口の中が乾燥した状態になると、唾液の分泌が少なくなるため、虫歯の原因や口臭のもとになったり、ウイルスが体内に入り込むため風邪もひきやすくなります。また、前歯が出ているので上手に食べ物を噛むことができなくなってしまいます。さらに、転倒などの際に前歯をぶつけてしまいやすいため、歯が折れてしまったり口唇を傷つける危険性があります。また審美的にもきれいではなく、口を閉じることができないため、周りを気にしてしまい人前で話すことを躊躇してしまいます。

開口(かいこう)

奥歯はしっかり噛み合っているのに、上下の前歯が噛み合わず隙間がある状態です。

開口の原因は上顎前突と同様に、悪い習癖の一つといわれる幼い頃の指しゃぶりと舌の悪い癖などのために、上下の歯が前に傾いてしまいことによって隙間が空いてしまうことにより起こります。また、食事の際、奥歯のみで噛むために奥歯の負担が大きくなってしまい、将来的に奥歯を失うことに繋がってしまいます。さらに骨格性の遺伝もあります。骨格性の遺伝の場合は、家族の方も開口である場合が多いです。

開口は口が閉じられないため、口の中が乾燥してしまうため、唾液が出にくくなり虫歯や風邪をひきやすい原因になります。また奥歯ばかりで物を噛むため、顎の関節に負担が生じやすく、顎関節症を併発することもあります。さらに前歯が開いてしまっているため、発音がうまくできずに舌っ足らずな喋り方になってしまうことがよくあります。

過蓋咬合(かがいこうごう)

過蓋咬合とは、上の前歯が下の前歯が覆ってしまうくらい前歯の噛み合わせが深い状態のことをいいます。主な原因としては、上下の顎バランスが悪かったり、顎の骨が未発達というような骨格と顎関節位置が通常よりも後ろにある場合などの異常などがあります。上の前歯が成長しすぎてしまうことで、噛み合わせが深くなる場合があります。また虫歯や事故などで奥歯を失ってしまうと、奥歯で噛み合わなくなるため、前歯の噛み合わせが深くなりことも原因の一つです。

過蓋咬合は下顎が自由に動かすことができないため、顎関節症になりやすくなります。また、前歯が下顎を後ろに押し込むため、顎の関節が後ろの骨に圧迫されてしまい負担がかかってしまいます。さらに、上の前歯が乾燥しやすくなったり、下の前歯が上の歯茎の根元を常に刺激してしまうため、歯茎が下がってしまい、虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます。

空隙歯列(くうげきしれつ)

空隙歯列とは、歯と歯の間に隙間がある状態、いわゆるすきっ歯といわれる歯並びのことです。中でも前歯の真ん中に隙間がある方が多く、この場合は正中離開といいます。

空隙歯列の原因は、生まれつき永久歯の本数が少ない場合、歯の大きさが正常よりも小さい場合、歯の並ぶスペースが余ってしまうので、すきっ歯となる場合があります。

空隙歯列は、歯と歯の間に隙間があるため、そこから空気が抜けてしまい息漏れがしやすくなります。特にサ行の言葉を発しづらく、舌っ足らずな喋り方になってしまうことがあります。また、歯と歯の間の隙間に食べ物が挟まることが多くなるため、虫歯や歯周病になる要因となってしまいます。

交叉咬合(こうさこうごう)

交叉咬合とは、顎がずれてしまい上下の歯の噛み合わせが通常の場合と逆になっている状態をいいます。成長期に下顎がずれていると、そのまま下顎は成長するため、大人になったときのずれが大きくなってしまいます。成長するにつれて噛み合わせだけでなく、顎骨までが変形してしまい顔が歪んでしまう恐れがあります。

交叉咬合の原因は、頰杖をつく癖があると、顎の片側に偏った負荷がかかってしまうために顎がずれて顔が歪むということがあります。また口呼吸や舌癖なども、舌の定位置を乱してしまい、顎の変形や顔の歪みの原因になります。

交叉咬合は上下の歯の噛み合わせが通常の場合と逆になっているため顎の骨がうまく成長しない場合があります。さらに、顎関節症の原因にもなりやすく、治療の際は外科手術を伴う矯正治療が必要になる場合もあります。

歯を失うことで噛み合わせが悪くなる

歯を失ってしまった場合、失った歯の代わりに入れ歯やブリッジ、インプラントといった歯を取り戻す治療が必要となります。しかし、治療をおこなわずにそのまま放置してしまうと、周囲の歯が移動したり傾いたりしてしまうため、噛み合わせを悪くすることになってしまいます。しかし、もしも補填治療をおこなったとしても、補綴治療が新たに噛み合わせの問題を作ってしまい、噛み合わせが悪くなる場合があります。正確な噛み合わせの治療がうまくできなければ特定の歯に負担をかけてしまうため、歯の寿命を縮めることにも繋がります。これはインプラント治療においても同様なのです。歯を失ってしまい、それが原因で噛み合わせが悪くなってしまうことで、さらに別の歯を失ってしまうという、悪循環に陥ってしまう危険性もあるです。

また噛み合わせの乱れは、全身のバランスを取る際に大切な役割を果たしている顎関節に大きく影響します。顎関節は首から上の筋肉とも密接に関係しているため、バランスが乱れてしまうと、全身に悪影響を及ぼしてしまい、さまざまな症状を引き起こしてしまうのです。

そのため、現状の改善だけでなく、今後の治療のことを考慮した大分県のかかりつけの歯科医院で適正な診査・診断、そして噛み合わせ治療をおこなうことをお勧めいたします。

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