笑った時に歯茎が見えてしまう口元のことを「ガミースマイル」と言います。口元は人の印象を左右してしまうパーツであるため、ガミースマイルの方は口元がコンプレックスになってしまうことも少なくなくありません。口元がコンプレックスになるとストレスになったり、笑顔がぎこちなくなったり、口元を隠して笑ったりするような癖がついてしまう可能性があります。
そのようなガミースマイルはどうすれば改善できるのか、また原因は何なのか等についてご紹介します。
ガミースマイルの特徴・原因
ガミースマイルは英語で「gummy smile」と表記し、ガミーとは歯茎や歯肉を意味する「gum」の形容詞で「歯茎の見える」という意味を表します。
ガミースマイルは男性よりも女性に多くみられ、老年層よりも若年層に起こりやすいと言われています。最近ではSNSの発達により、写真を撮る機会も増えたことでしょう。そんな時に写真に写った自分が思っていたよりも歯茎が目立っていたりすると、それ以降口元が気になってしまう方も少なくありません。
ガミースマイルの判断基準は口角を「ニッ」と上げ、フルスマイルの状態で笑った時に、上の前歯の歯茎が3~4mm以上見えてしまう状態を基準とし、5mm以上の歯茎の露出の場合は重度のガミースマイルと判断されます。
ガミースマイルになってしまう原因は様々で、歯や顎に問題があるケースや、歯茎が過剰に発達してしまったケース、唇が薄い人は、その分歯茎を覆う範囲が少なくなってしまうので露出量が増えてしまいます。その他にも、上唇挙筋が発達しすぎて過剰に唇が引き上げられてしまうケースなどが考えられます。
歯や顎に問題がある場合とは、上の前歯が本来の位置よりも下の位置まで生えていることや、出っ歯によって上唇が引き上げられてしまうことで歯と歯茎が露出しやすくなります。このような場合は矯正治療が有効です。また、上顎の骨が縦に長かったり、上の前歯を支える骨が厚いことでも歯茎が露出しやすくなります。このように顎の骨に問題があり、矯正治療による改善が難しい場合は外科手術が必要となります。
若干の歯茎の露出であれば、唇の位置は加齢と共にたるんで下に移動するので、歯茎の見える幅は減少し、然程気にならなくなるでしょう。ガミースマイルは必ずしも治さなければいけなものではありませんが、歯列矯正や治療で治すことができます。見た目が気になるようであれば矯正治療を検討してみてもいいでしょう。
ガミースマイルが引き起こす問題
ガミースマイルは必ずしも治療しなければならないものではありませんが、ガミースマイルが引き起こす可能性がある問題ももちろんあります。
まず一番目に挙げられるのは、見た目のコンプレクスという点でしょう。これはガミースマイルの多くの方が問題としている点であり、口元が気になるあまり、ストレスになったり、笑顔がぎこちなくなったり、手で口元を隠してしまう癖がついたりします。さらには笑うことが嫌になったりすると、対人関係にも影響が出たり、性格もネガティブになってしまう可能性も考えられます。
また、歯茎が露出してしまうことでお口の中が乾燥して細菌が繁殖しやすくなることも考えられます。そうすると、虫歯や歯周病、口臭などを引き起こしたり、歯肉炎という腫れぼったい状態になると歯ブラシが当たるだけで血が出やすくなったりします。
ガミースマイルの治療について
ガミースマイルの治療には対症療法と根本治療法があり、根本治療として粘膜・筋肉・骨の調整を行う外科手術や歯列矯正が挙げられます。
最近では手軽な対症療法として、美容外科でのボトックス注入法などが流行していますが、ボトックスというのは元々、眼瞼痙攣(がんけんけいれん)の薬で、過剰な筋肉の活動を抑える働きがあります。筋肉の動きを抑制することで、大きく口を開けて笑った時に見える歯茎の露出量を減らしガミースマイルを治すことが目的とされていますが、半年程度しか持続せず、定期的に注入する必要があります。
根本治療法として、唇を引き上げる上唇挙筋が発達しすぎている場合には、外科手術で粘膜を除去したり筋肉を切断したりすることで、軟組織の動きを抑えます。また歯列や上顎の骨の形に問題がある場合は、上顎の骨を切断する手術や歯列矯正などが行われ、これらの治療法が根本治療となります。また歯の長さが短い場合には、歯の周囲の骨を削ることによって歯の長さを確保し、歯を大きく見せることで相対的に歯茎の露出量を減らす方法もあります。
以前であれば矯正治療でガミースマイルの治療が難しい場合に外科手術が必要となりましたが、近年、歯科矯正用の「アンカースクリュー」が登場したことで、矯正治療単独での治療範囲が広がりました。このアンカースクリュー矯正では顎の骨に埋め込んだスクリューを固定源として動かしたい歯を効果的に移動させることができ、ガミースマイルの治療の場合は、上の前歯を上に移動させて改善を図ります。
気になる治療費は、歯科医院によって差はありますが、だいたい80万〜150万円ほどのようです。ガミースマイルの治療は自由診療になり保険が適用しないため、治療費が高額になります。歯科医院によってはデンタルローンを利用できる場合もあるようなので、気になる場合は歯科医院に相談してもいいでしょう。
いかがでしたか?ガミースマイルは芸能人にも多く、チャームポイントとして残し、治療を希望されない方も多くいらっしゃいます。しかしガミースマイルが気になるようであれば、矯正治療を検討してみてはいかがでしょうか。コンプレックスを解消し、思いっきり笑う未来を手に入れることができるでしょう。