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ブラキシズムとは
起きている時も歯ぎしりがおこなわれているのをご存知ですしょうか?
ブラキシズムとは、睡眠時や覚醒時に歯ぎしりをしたり、噛みしめたりする習癖のことです。ブラキシズムは多くの人がしていると言われ、その頻度や力の強さが問題となります。またブラキシズムが起きるのは、眠っている時や、何かに夢中になっている時が多いと言われており、本人は気付きにくいという特徴があります。
人間の噛む力は約40~60kg程で、自分の体重ほどの力があります。食事の際は、その1/2~1/4程度の力で自然と加減しながら噛んで食事をしています。ところが、睡眠中や、何かに夢中になっている時のブラキシズムは、加減なく噛みこむ事があり大きな負荷がかかります。
例えば、上下の歯の噛み合わせの面が平らに摩耗していたり、頬の内側の粘膜や舌に歯の圧痕や白い線があることはありませんか?また、上顎や下顎の内側に骨の出っ張りがあったり、朝起きた時に口の周りがこわばっている、さらにストレスや肩こり頭痛があるのも、ブラキシズムが原因かも知れません。
覚醒時ブラキシズム
覚醒時ブラキシズムとは、起きている時にする歯ぎしりの一種です。
歯周病がなかなか改善しなかったり、顎の痛みが軽減しない。また、日中や夕方に痛み出したり、調整しても、入れ歯が痛い等といった症状がある方は、覚醒時ブラキシズムかもしれません。歯ぎしりや、くいしばりは、起きている時は持続が困難です。ただ、上下の歯が接触することは持続が可能です。この上下の歯の接触は、生理的範囲で1日17.5分と言われています。これを超えると覚醒時ブラキシズム(TCH)と言われます。
覚醒時ブラキシズム(TCH)は、寝ている間の歯ぎしり・くいしばりと同様に、さまざまなお口の病気(知覚過敏・義歯性疼痛・顎関節症等)に影響を及す可能性があると考えられています。
歯ぎしりのタイプ
歯ぎしりのタイプは3つあり、グラインディングというのが、歯をギシギシと擦れあわせる一番典型的なタイプです。また、クレンチングという無意識に歯を強く咬みしめたり、くいしばるタイプのものもあったり、タッピングという歯をすばやくカチカチ合わせるタイプの歯ぎしりのタイプがあります。
クレンチングとタッピングは起きてる時にも行われており、無意識にくいしばるクレンチングや、カチカチ歯を合わせるタッピングは、睡眠時の歯ぎしりよりも、はるかに歯に悪影響をおよぼします。
歯ぎしりによる問題
歯ぎしりをすることでどのような影響が出てしまうのかご存知でしょうか?歯ぎしりが歯や体にもたらす悪影響の例をご紹介します。
顎関節症を引き起こすことがある
歯ぎしりをすると下あごが前後・左右に動き、顎関節に負担がかかります。このような状態が続くと、顎関節症の原因となることがあります。
歯が削れたり割れたりすることがある
本来、歯の先端は細かな山形になっています。歯ぎしりをすることにより、その部分が削れてスパッと切ったようなフラットな形状になってしまいます。
歯の位置が移動する、歯並びが変化する
歯と歯が強くこすれあったりぶつかりあったりすると歯が揺れ動きやすくなるため、歯並びが悪くなったり、歯の位置が動いたりすることが考えられます。
知覚過敏を引き起こすことがある
歯ぎしりで歯に過剰な力がかかると、歯の表面を覆う結晶部分やエナメル質がはがれていきます。それが悪化すると、その下にある象牙質がむき出しになり、象牙質への刺激は神経に伝わるため、歯ブラシが当たったり冷たいものや熱いものがふれたりすると知覚過敏が生じるようになります。
歯周病にも悪影響を与えることがある
歯ぎしりをすると、歯根や歯茎・あごの骨など歯を支えている土台部分にも大きな負荷がかかります。そうなると歯がぐらついて歯と歯茎の隙間が広がり、細菌が入り込みやすい状態になり、歯周病の悪化を招く恐れがあります。
さし歯などの歯冠修復物が壊れたり外れたりすることがある
歯ぎしりで歯などに強い負荷がかかると、病院で作ったさし歯や、歯冠修復物などが取れやすくなります。また、インプラントをしている方は、金具が外れたり取れたりしやすくなります。
エラが張る
歯ぎしりをすると口まわりの筋肉、いわゆるエラあたりの筋肉にある咬筋などに強い負荷がかかります。咬筋や下あごの骨が発達し、エラが張ってくることがあります。
頭痛や肩こりを引き起こす
歯ぎしりによって咬筋などの筋肉に過剰な負荷がかかっていると、それらの筋肉につながっている首や肩まわり、こめかみ等の筋肉にも影響が起きやすくなります。その結果、頭痛や肩こりといった症状に繋がることがあります。
まとめ
歯ぎしりが起こるくわしい原因はわかっていませんが、遺伝や飲酒、喫煙、カフェイン摂取、ある種の抗うつ薬の服用、ストレスなどが原因と指摘されています。
また、歯ぎしりは、浅い眠りのときに起こることがわかっています。人間は深い眠りと浅い眠りを交互に繰り返し、深い眠りのとき筋肉の動きは抑制されています。そして眠りが浅くなると抑制が解け、その拍子に咬筋(頬の筋肉)が動き、歯ぎしりが起こると考えられています。飲酒や喫煙、ストレスなどは、睡眠を浅くする要因であり、とくにストレスは、歯ぎしりの7~10%に関与していると言われます。
特定の遺伝子型の人は、ほかの人の約5%、歯ぎしりをしやすいことがわかっています。また、睡眠時無呼吸症候群の人は眠りが浅く、歯ぎしりをしやすい傾向にあります。胃酸が食道に逆流する逆流性食道炎も、眠りが浅くなるので歯ぎしりの原因になると報告されています。
歯ぎしりは無意識で行っていることが多く、自分でコントロールするのが難しい一方で、想像以上に歯や体に大きな悪影響を与えます。指摘されたことがある方や、上記の問題に当てはまる方は、一度信頼のおける大分の歯科医院に相談してみることをおすすめします。